だむち~だって無知なんだもん~

底の浅い私、さくらだ が気になった主に漫画やアニメ、ゲームをぐだぐだと語っています。

コミック『五等分の花嫁』を読んでみた⑥

7.ミステリー要素を取り込んだラブコメ?


『五等分の花嫁』にミステリー要素を感じさせる理由として、変装のほかにも「意味深な台詞」というのがあります。


とにかく、作者は油断をしていると、「ん?」と思わず読む手を止める発言を風太郎や五姉妹に言わせてきます。


例えば、第1巻の最初の方で、風太郎は五姉妹の家庭教師に関して、初めて父親であるマルオへ電話をかけるのですが、5人全員の面倒はとても見られないと答えると、

とさらっと言います。


この後、『残念だがこの話は無かったこと・・・』となるところを風太郎が言葉をさえぎって家庭教師を引き受けることになるんですが。


もうこのワンフレーズだけで、想像が膨らみます。
・父親同士はどんな関係なのか?
・どういう状況で風太郎に無理やり家庭教師をやらせようとしたのか?
・風太郎父は五つ子の事を知っていたのか?


この時点では、当然、風太郎はマルオと面識がないのですが、この会話だけで一気に接点が立体化されてきます。上手い。



2巻の二乃のピアスの穴をあけるのを思いとどまったシーンも、読み流しそうになりますが、よくよく考えると意味深。


単なる一般論を話しただけ、とも取れますが、あえて二乃の台詞として言わせたのは、やっぱり作者の考えがあってのように思えます。
(ただ、花嫁衣裳を着る=本命 とは限らない描写もしているのが、作者のテクニカルなところ・・・)


もう、こういった言葉を拾い上げると枚挙に暇がないのですが(誰か、意味深台詞集作ってください!)、この作品のすごいのは、分かる限り、ほぼ全ての台詞(伏線)を回収しているんですよ。
多分、分かっていないのは、私が気づいていないか、これから回収するに違いない、と思わせるくらいに。


これって、もはやラブコメというよりもミステリーでは?



その思いが決定的になったのが第99話のこのシーンです。





やったー、告白シーンだーっ


・・・てならないですよね、これ。



で。


風太郎の台詞を一回消してみて、ここに一番合う言葉を入れてみよう
ってなったら、どんな台詞が入ると思います?



間違いなく


「この中に犯人がいる」
なんですよ。



で、思ったんですが、


これって、ひょっとして、ミステリー要素が入ったラブコメではなく。


ラブコメ要素が入ったミステリーでは? 



そう考えると、いろいろと符号してくる部分が出てくるんですよ。
・ひたすら中立な主人公
・回収するために周到に用意された伏線
・ここぞというところで差し込まれるウエディングシーン


ヤバイ、『五等分の花嫁』、面白い。


(つづく)


※本記事で掲載されている画像は「『五等分の花嫁』/春場ねぎ/週刊少年マガジン」より引用しています。

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