『鬼滅の刃』は面白がった人の勝ち⑤
7.『鬼滅の刃』ブームを登山に例えてみる
前回は、『鬼滅の刃』ブームを オタクの世代交代と絡ませて語ってみました。
んー、やっぱり、ちょっと分かりづらい・・・。
ということで、再チャレンジ!
今回は、「登山」でうまく説明できないか試してみたいと思います。
さて、みなさんは、日本で一年間でもっとも登山客が来ている山はどこかご存知でしょうか?
富士山? 伊吹山? それとも谷川岳?
正解は高尾山です。
知る人ぞ知る、知らない人には案外知られていませんが、高尾山は東京八王子市にある山で標高は599mながら、ミシュランの三ツ星にも挙げられて年間260万人も訪れる超人気スポットなのです。
この高尾山、何が魅力かと言いますと。
1.気軽に登山を楽しめる!
東京都にある山だけあって、都心から約1時間で到着、らくらく日帰りで登山を楽しむことができます。しかも、様々な登山ルートが用意されており、ケーブルカーやリフトを使って上り下りができるため年配の方も安心して登山にチャレンジできる幅広さがあります。
2.絶景ポイントが多い!
標高自体はそれほど高くないのですが、見晴らしがよく東は関東平野、西は富士山を臨むことができ、また四季による彩りの変化も豊かで、もちろん秋には紅葉を楽しむこともできます。
3.料理がおいしい、インスタ映えする!
登山で食欲が出てきたところで、おいしい蕎麦やスイーツで口とお腹で高尾山を楽しめるのも魅力。山、緑と食べ物、という組み合わせもインスタ的に映えます。
なぜ、いきなり高尾山推し
いえいえ、大事なのはここからです。
これだけ見ると、高尾山ってただの観光スポットの一つに見えます。
でも、
間違いなく登山のカテゴリーに入っているんです。
つまり、高尾山は、「登山」という名前だけきくとマニアックなカテゴリーでありながら、その実、観光スポットとして誰もが楽しめるエリアでもあるのです。
あれ?
これって、まさに『鬼滅の刃』では!?
8.『鬼滅の刃』は高尾山だった説
こうして『鬼滅の刃』=高尾山って考えると、いろいろと(都合よく)解釈できます。
「高尾山行ってきたけどヤバイ、楽しい!近いし、景観ばっちりだし、登山感もある!」
(テキトーですみません・・・)
フォローしている人からこんなツイートと写真があったら、具体的に何があるか分からなくても、なんか気になっちゃいますよね。
しかも関東圏内の人であれば、少し気が向けば簡単に自分も日帰りで体験できる。そして、その様を自分もツイートしていく。
で、これが高尾山ではなく鬼滅の場合どうなるかといえば。
フォローしているひとやSNSの知り合いから『鬼滅の刃』が面白いと知った人は、Amazonとかで簡単にマンガもアニメも手に入りますので、思わずポチッとします。
実際に面白さを共有できたひとであれば、自分も『鬼滅の刃』が面白い、とSNSで拡散していきます。そして、さらにそれを見た別の人たちがまた見て・・・、とそんな流れでどんどん面白いと感じた人たちの輪が広がっていきます。
あるいは、ベテランの登山者(=マンガファン)でも、噂を聞きつけて読んでみた結果、「これはシンプルだが面白い、なるほど人気になるのも頷ける」と納得する方もいるでしょう。
では、逆に「つまらない」人、というのはどんな流れで発生するのでしょうか?
彼ら彼女らはもしかしたら、「一番人気のある登山スポット」(=日本で一番売れたコミック)というキーワードから、このツイートや写真を見つけてきたのかも知れません。
その際、「日本で一番山をやっている人が集っているスポットだから、きっと自分がみたこともない登山や景観を楽しめるに違いない!」と期待して高尾山にやってきたのだとしたら。(もちろん、現実には登山家が高尾山を知らないわけないのですが)
「なんだ、こんな山(=マンガ)全然面白くないじゃないか」
となるのではないでしょうか。
物凄いガチ登山装備で、いざ! と構えてやってきてみたら、実は高さ600メートルそこそこの山で、初心者から子供まで楽しめるところだった。
これであれば、確かに「何だよー」とがっかりする人の気持ちも分かります。
でも、それもそのはず、
『鬼滅の刃』は、アイゼンやピッケル、トレッキングポールを装備して踏破する雪山ではなく、気が向いたら老若男女がハイキング姿で気軽に日帰りでも楽しめる「マンガ界の高尾山」なのですから。
つまらない、のではなく、たまたま想像していた山が違っていた、それだけです。
きっと、最初から「ああ、高尾山のことか!」と知っていたら、それだけでもこの議論は収まってしまう、そのぐらいの話題なのかも知れません。
ということで、『鬼滅の刃』「面白い」「つまらない」論争の解釈はここまでです。
次回から、アニメ版が、いかに高尾山のように、たくさんの人が気軽に楽しめる設計になっているかを さくらだ なりの視点で語ってみたいと思います。
(つづく)