だむち~だって無知なんだもん~

底の浅い私、さくらだ が気になった主に漫画やアニメ、ゲームをぐだぐだと語っています。

『鬼滅の刃』は面白がった人の勝ち④

5.オタクの代名詞ではなくなったマンガ、アニメ


自分なりの整理をするにあたって「オタクの世代交代」という補助線を一本引いてみたいと思います。


オタク論は、それだけで、それこそ文化、経済、若者論からアイデンティティーまで様々な分析、評論を行っている方がいますので、私は、それらのうちの、本当に表面部分だけをつまみ食いだけさせていただこうかと。



実は、「オタク」という言葉が持つ意味合いは、世代によって意外に大きく変わってきている、ということはご存知でしょうか?


「オタク」という言葉は1984年から使われ始めたとされていますが、今の10代、20代のオタクは、第3世代とも第4世代とも言われているそうです。
世代の違いでポイントになるのは、情報収集の手段でしょうか。




第1世代:1980年代前半以前(宇宙戦艦ヤマト、機動戦士ガンダム)

まだビデオデッキが普及してなく、専門雑誌やショップも限られているため、自力でコネクションを広げて情報を入手していた世代。自分で調べるのが当たり前の世代であり、
教養主義の傾向が強い
。「オタク」定義以前の世代であり、むしろ意識していない人も。



第2世代:1980年代後半~90年代前半(幽☆遊☆白書、新世紀エヴァンゲリオン)

「オタク」定義後。
ビデオ、DVDが普及
、専門雑誌、ショップも充実。
インターネットによる情報交換
も始まり、自作ホームページ開設ブームも。この時期にオタクによる幼女連続誘拐殺人事件があり世間の目が最も厳しく、この世代はオタクを隠していることも。



第3世代:1990年代後半~2000年代前半(涼宮ハルヒの憂鬱、銀魂)

「オタク」とは別の表現として
「萌え」が定着

ネットが当たり前の環境
になり、ブログによる情報交換が活性化。(違法含め)動画共有サイトによりアニメがいつでも見られる環境に。作品単体、一部が好きでも「オタク」アピールする人も現れ、「オタク」がライト化される。



第4世代:2000年代後半~(魔法少女まどか☆マギカ、ラブライブ)

ツイッター、インスタグラム
など短文・画像共有型のSNSが主流に。動画、マンガの月額定額(無料含む)サービスが一般化。知識よりコミュニティ重視。「オタク」は趣味のオプションの一つであり、マイブームの有無で着け外しが可能。




という感じでしょうか。


代表的な作品は・・・すみません!
異論はいろいろあるかと思いますが、割と知られていて時代を反映していそうなものを2タイトルずつ挙げてみました。



見てお分かりになる通り、ほぼ10年単位の短い期間で世代を区切っているのですが、たったその10年でも世代間での環境は大きく変わっているのです。多分、2世代ズレると、書いてあることが理解できても実感はできなくなるかと思います。


今の若いオタクに「昔は、ネットもスマホもないから、同じマンガやアニメ仲間を探すのに一苦労するし、Amazonもビデオもないから、一度マンガを買い損ねたり、アニメを視損ねたりすると致命的なんだよ」と言っても通じないでしょう。


逆に、50代のオタクに「最近は、1回マンガやアニメを見ただけでもオタクって名乗れるし、オタクはやめたり再開したりできるんですよ」って言ってもピンと来ない。



6.SNSが拡散する情報の限界


さて、ちょっと面倒くさい話をしました。
これと、今回の論争がどう話がつながってくるかと言うと。



実は、この第1世代から第4世代まで、


みんな、今もバリバリ現役でマンガ読んでるんですよ。


もともと、マンガ、アニメ好きの人たちでさえ、これだけ世代間で様々なスタンスで作品を楽しんでいるのです。
そして、『鬼滅の刃』はブームの波にのって普段マンガやアニメを見ない一般層にまで広がっています。


そりゃあ、好みが分かれるのも仕方がないです。



ただ、もう少し、個人的な解釈を加えるのであれば、最近のブーム拡散の手法がツイッターやインスタが中心であることも無視できない要因ではないのかと思っています。



言うまでもないですが、ツイッターは1回の呟きで最大140文字、インスタは画像を中心に情報を発信するツールです。そして、これまた言うまでもなく、気に入った投稿があれば、それをリンクして他の知り合いに拡散していく形になります。



それは、情報源のツールとして考えると、
面白さを「語る」リソースが足りていない
のではないかと。



例えば、ツイッターやインスタで『鬼滅の刃』を語るとき、


「ヤバイ、友人から教えてもらった『鬼滅の刃』が超面白い!主人公のひたむきさに泣けてくる。一気に最新刊まで揃えちゃった!」


といったメッセージに、買ったマンガの写真を添付するシーンをよくみかけます。
(上の文章は、私が即興で作ったものですが・・・)



情報量に制限があるので仕方がないのですが、これらのツールでは、
『鬼滅の刃』にハマった自分、マンガを購入した自分を伝えるので精一杯なんですよ。


とても、作品の内容に触れるところまで説明ができない。



ですから、これらのメッセージを見た人たちは
よく分からないけど、これだけ売れてて、フォローしている○○さんも絶賛しているから読んでみようか」ということになります。



そして、この情報不足がもう一つの誤解を生んでいるように見えます。



まさに、今回 私自身が陥ってしまった勘違いです。



日本で一番売れているマンガだから、日本で一番面白いはず



これですよ、これ。


「日本で一番」は大げさですが、多かれ少なかれ、「とにかく面白い」というあまりに情報不足の発信から、「これは見ておかないと!」と『鬼滅の刃』に入った人が多いかと思います。


でも、



こんな世代が違う人たちの、「面白い」のレベルは違うに決まっているんです。


ドンピシャの人には傑作になりますし、逆に合わなかった人もいるはずです。
そう、「つまらない」ではなく「合わない」。


どっちが上でも下でもなく、良いでも悪いでもなく、
立ち位置が違うだけ、ただそれだけです。



ですから、立ち位置が違う彼ら彼女らが話すべきは、
「面白い」「つまらない」ではなく、こういう見方もある、こう見たらもっと面白い、という面白がり方の議論じゃないのかな、と。



ちょっと、一気にまくしたててしまいました(笑)


次回も、ちょっと別の視点でこの話をしてみたいと思います。


(つづく)

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