コミック『五等分の花嫁』を読んでみた⑨
10.『五等分の花嫁』と『ヴァン・ダインの二十則』その3
今朝、不意に、
「もし、最終回の最後のコマが、マルオが墓前にお供えした花束と結婚式の写真カットだったら間違いなく号泣するだろうな」
と思ってしまった さくらだ です。
ホント、不意すぎる・・・
さて、引き続きWikipediaより引用させていただいた『ヴァン・ダインの二十則』を使って、『五等分の花嫁』が読み解けるか残り5項目を読み換えてみたいと思います。
「何の事?」という方は、読んでみた⑦から眺めていただくと良い感じです。
読み換えワードはこんな感じ
探偵:花婿
犯人:花嫁
殺人:恋愛
事件:告白
死体:フラれ役
捜査員:脇役
などなど
16.余計な情景描写や、脇道に逸れた文学的な饒舌は省くべきである。
おー、これは修正の必要なく、まさに風太郎の進む道、と言う気がします。
風太郎自身は感情を表に出さず、周囲のリアクションが彼の思っていることを後押しする、という構図は斬新です。
17.プロの犯罪者恋愛マスターを犯人花嫁にするのは避けること。それらは警察成人漫画が日ごろ取り扱う仕事である。真に魅力ある犯罪恋愛はアマチュアによって行われる。
や、やばい・・・元の真面目な文章と書き換えのギャップが(笑)
自分で書いといてなんですが、恋愛マスターってなんだよ・・・
まあ、登場人物はまごうことなく恋愛はアマチュアですのでクリアです。
(※文章と画像はまったく無関係です)
18.事件告白の結末を事故死夢や自殺聞こえなかったで片付けてはいけない。こんな竜頭蛇尾は読者をペテンにかけるものだ。
あ、二乃・・・。と思いきや、再度告白したのでセーフ(笑)
こういうところ、しっかりと押さえているのがラブコメ風ミステリー(言ってない)
19.犯罪恋愛の動機は個人的なものが良い。国際的な陰謀や政治的な動機はスパイ小説に属する。
ええ、もちろん!
ただ、陰謀や政治から始まる恋愛、というのも見てみたい気が。
20.自尊心(プライド)のある作家なら、次のような手法は避けるべきである。これらは既に使い古された陳腐なものである。
これは、いろいろなパターンがあるんだそうです。
もう、ここからは全部ごり押しです。
・犯行告白現場に残されたタバコの吸殻ガラスの靴と、容疑者花嫁候補が吸っているタバコの足を比べて犯人花嫁を決める方法
・インチキな降霊術で犯人花嫁を脅して自供告白させる
・指紋婚姻届の偽造トリック
・番犬父が吠え反対しなかったので犯人花嫁はその犬父に馴染みのあるものだったとわかる
・皮下注射や即死する毒薬操られる、即惚れする薬の使用
・警官が踏み込んだカップル成立が終わった後での密室殺人暴露話解禁
・言葉の連想テストで犯人花嫁を指摘すること
・土壇場で探偵花婿があっさり暗号本心を解読して、事件告白の謎を解く方法
最初は割りとあるある、と思ったんですが、
途中からごり押ししても無理でした・・・
いっそ、誰かこれらのどれかを使ってお話つくってもらっても面白いかも。
で、大体は『五等分の花嫁』には関係のない内容だったのですが。
二つだけ、実は気になる項目があり残しました。
それがこちらです。
・替え玉によるアリバイ工作
・双子の替え玉トリック
こ、これは・・・
むしろ、この作品ではストーリーの肝になっているギミックです。
ただ、思い直してみると、20番に書かれた推理小説では陳腐だとされている手法は、見てのとおり、ラブコメとしてみると全然アリなんですよね。
むしろ、せっかくの設定を積極的に使っていかないともったいない。
個人的には、ここから使えそうなギミックを選んだ結果、五つ子設定ができた、という説まで唱えたい(それはない)
それにしても、20番に並んでいる手法はどれも王道とも言えますので、上手く取り込んでしまえば実は芯の通った作品になる可能性もあります。
うーん、他のパターンを使ったストーリーもどこかで見てみたい!
あ、でも
「カップル成立が終わった後で暴露話解禁」はちょっと・・・
(つづく)
※本記事で掲載されている画像は「『五等分の花嫁』/春場ねぎ/週刊少年マガジン」より引用しています。