ゲームブックの煌めき、再び?⑭ 了
なんと、2年以上もブログを寝かしてしまっていました。
というよりも、最低限、書きたいところまで何とか辿り着いたら力尽きてしまった、という感じでしょうか。
ご無沙汰しています、さくらだです。
さて、なぜ、こんな久しぶりにブログを書こうかと思ったかと言うと、実は、ちょっと妄想・・・もしくは考察してみたい話題が出てきまして、この場であーでもない、こーでもない、と書き起こしてみたいと思ったからでして。
それで、「そういえば、前回のブログはどう終わっていたかなあ」と読み返してみた、と。
まあ、一応はそれなりに決着はついていたんですよね。
文末はこんな感じで。
みなさんもぜひ、ゲームブック体験を!
(つづく)
・・・ん?
つづく??
そう、実は、当時の私はもう少し話を続けるつもりだったんですよねぇ。
読み直したときに、うっかりその事を思い出してしまって。
ただ、書きたかったことはちょっと辛口でしかも視野狭めなことだったので、もうこれはこれで良いかなぁ・・・
そうも考えたのですが、一つのシメ話題として書かせていただければと思います。
相変わらずの個人の妄想ということで。
45.ゲームブックの停滞と延命
いきなり景気の悪いタイトルでスミマセン。
ここまで、ゲームブック発生の系譜から、ゲーム全体までなんとなく押し広げつつ、最後はゲームブックの魅力を語っておいて、どういう事なんだい?と。
実際、このコラムを書くきっかけとなったファイティングファンタジーシリーズの復刻版(新作含む)は、その後順調にタイトルを増やして、現在は4タイトルが発売されています。
また、DAISOでは、カードゲームやボードゲームを含め、様々なタイプのゲームを安価で販売するチャレンジを続けていますが、その取り組みの一つとしてゲームブックも提供しています。
ここでは、4Gamerの岡和田さんのレビューが秀逸ですのでぜひ一読ください。
100ページ超にして100ちょっとのパラグラフで構成されたゲームブック2作品がなんと100円で販売されています。しかも、量に甘えないしっかりとした質も持っています。
そして、これまで紹介したゲームブックにもあった通り、過去のゲームブックの一部は電子書籍化されて、Kindleで楽しむことも可能です。
「展覧会の絵」など、名作とされた結構な数のゲームブックがKindleUnlimitedで読み放題になっているのも嬉しいです。

- 展覧会の絵 (幻想迷宮ゲームブック)
- 幻想迷宮書店
- Digital Ebook Purchas
これだけ見れば、今の時代もゲームブック健在なり!フンスっ、と鼻を鳴らしても良さそうですが、個人的には、これらの展開はとても有意義でありがたいなあ、と思いつつ、ゲームブック、さらに広げて言えば「ゲーム+ブック」としての発展は、やはり停滞してしまっているのではないか、と思うのです。
まず、ファイティングファンタジーの復刻版ですが、これらは5冊のゲームブックシナリオと小冊子(安田均さん描き下ろしでこれはこれで非常に価値あるものなんですが)がついて、価格は8,500円前後(税込)。
一冊1,700円という価格は、かつて遊んだ大人が懐かしんだりコレクションするには、本のサイズもひと回り大きくなり装丁も美しく良いのですが、当時のように子供がお小遣いを出して買うにはとても厳しい・・・
その点を考えると、ダイソーの100円(110円税込)というのは、逆に採算が取れるのか心配なレベルでお手頃お買い得なんですが、登場人物の年齢が小学生中学年あたりという部分や文章表現を見るに、今度は逆に小学生がお小遣いで買う、もしくは親子で楽しむレベルにあえて抑えた内容だと思います。(ただ、サイコロやパラメータを使わず文章と絵でゲームを進めている部分はまさにゲーム「ブック」です)
上記の2つと比較すると、電子版のゲームブックは、どちらもクリアしているといえるでしょう。基本的には過去に名作と評された作品の電子作品として復活させていますので、内容については文句なしです。価格についても、1作あたり400~500円程度で、しかも前述の通りKindle Unlimitedに加入すれば読み放題に含まれている作品がほとんどです。
・・・え?でも、紙の本でない点がゲームブックとして致命的ではないかって?
ところがですよ。
ゲームブックの電子書籍化はそこを楽々とクリアしてしまうんです。
そして、クリアしすぎてしまったことが、個人的には致命的だと思っています。
46.ゲームブックの電子書籍化が視覚化したもの
どこが致命的なのか、例を出してみるのが良いかと思います。
ここに標準的なゲームブックがあるとします。
ここで言う「標準的」というのは、「右へ行くなら34、左へ行くなら174」といったパラグラフ形式で構成されていて、冒険の途中でアイテムを獲得したりそれを使用することで謎解き要素も含んでいる作品、としてみましょう。
さっそく、パラグラフ形式、というところで「電子書籍じゃパラパラと行ったり来たりができないから面倒くさい」という、感想があがった方はいるでしょうか?
実は、恥ずかしながら、私も最初聞いた時は当時、自炊、つまり紙の本を裁断してPDF化するというのは流行っていたことも頭にあって、「あれ、かえって不便じゃ・・・」なんて思っていました。
ところが、電子書籍化されるとパラグラフジャンプの考え方が全く変わります。
「右へ行くなら34」というところの「34」には下線が引かれています。
そう、「34」にはリンクが貼ってあり、クリックすれば34へジャンプするのです。
(電子書籍を読んでいる方でしたら目次のリンクを思い出してみてください)
パラパラめくるからパラグラフ形式~、なんてダジャレも通用しません。
なんなら、
もう数字を載せておく必要も、ランダムに並べる必要もありません。
そして、それはもう
本である必要がない、カードの集まりにすればいいじゃん、
ということになります。
また、パラグラフ形式よりは致命的ではないですが、「アイテムの獲得や利用を記録する」という部分については、本の余白、もしくは付属の専用紙に書き込む、という点では当時のゲームブックの手法を電子書籍にそのまま織り込めない、というのもあります。
ただ、これも、電子マーキングやしおり機能を組み合わせることでクリア可能です。
「でも、この前『ロール&ライト』が冒険への没入感を増してくれるって言ったじゃん」
そうなんです、そのアナログな作業が、ひと手間かける面倒さが、時にはゲーム性を盛り上げてくれることが往々にしてあります。
電子書籍化は、皮肉にもその「ロール&ライト」への架け橋を切り落としてしまったのです。
そもそもデジタル化するということは、ON/OFFのフラグ処理ができるということで、その時点で、PCやファミコンなどのアドベンチャーゲームの得意分野であり、従来のアナログ的手法では太刀打ちできなくなってしまったのだと思います。
でも、電子化しておくと、消えつつあるゲームブックの保存には貢献するんですよねぇ。
うーん、悩ましい・・・
47.ゲームブックの早すぎた衰退
以前、アナログ・デジタルゲーム年表を掲載した時には、ゲームブックの歴史を1984年~1997年としていました。
こちらはこちらで一応の設定軸はあったのですが、実際のところゲームブックの衰退自体はもっと早くから起こっていました。
出版点数で言えば1987年にはすでにピークを迎えその後は減っていましたし、1986年に国内で刊行されたゲームブック専門月刊誌『ウォーロック』が、1992年3月をもって休刊したことを考えれば、それ以前にゲームブックは衰退してしまっていたのだと考えられます。
となると、以前のお話の通り、やはりその原因としてファミコンブーム、そしてドラクエブーム、特に1988年のドラクエ3のメガヒットが大きかったのだと思います。
ドラクエ3のブームはゲームブックにとってはダブルパンチだったかも知れません。
一つは、当然、一人遊びのメインストリームを確立されたこと。
ゲームブックは「火吹山の魔法使い」「ソーサリー」などいくつもヒット作品はあれど決して表舞台に立つほどの役者ではなく、どちらかと言えば遊ぶ手段が一つ増えた程度の話でした。そして、1冊遊ぶのも長くて数時間程度。
ところがそこにドラクエがやってきて、一人遊びに使う時間を根こそぎもっていった訳です。
私は、ゲームブックの観点からこの話をしていますが、きっとドラクエに時間を持っていかれて失われた遊びや余暇ビジネスは他にも沢山あったんじゃないでしょうか?(大きな意味で読書もその一つかも知れません)
そして、もう一つ、ドラクエは「RPG」というジャンルを全国区に一気に押し上げました。特にファンタジーRPGの世界観は、当時いまだ「指輪物語」などの知名度は限られている中、ドラクエ3発売後の1989年に「スレイヤーズ」「ロードス島戦記」「フォーチュン・クエスト」などRPGを背景とした傑作ファンタジー小説が花開き、それとともにTRPGに対する理解と興味も上がっていきました。
そして、ファンタジー小説をゲーム体験として楽しみたいという人は、ゲームブックに帰って戻ってことはなく、そのままTRPGの方へ流れていったのだと思います。
それでも、ゲームブックも負けじと(いや、負けを認めて?)ファミコンゲームのタイトルをゲームブック化することでその恩恵を受けるという作戦もとりました。
ですが、離れたユーザーを取り戻すことはできず、結果的にはデジタル・アナログ双方がゲームブックの衰退を決定付けたかたちになったように感じます。
48.そもそもゲーム「ブック」って何なのさ?!
ということで、ここまでマクラだったりします(汗)
相変わらず文章が下手でスミマセン・・・
さて、ここからが本題なのですが、ゲームブックはブームの期間は短いながら、その中でも様々な手法、シナリオ、あるいは展開を試みてきました。手法で言えば、単純にパラグラフのつながりにするのではなくマップにパラグラフの番号を振ってそこへジャンプさせたり、プレイ前に呪文を記憶してその記憶だけを頼りに冒険する、というものもありました。シナリオでは、ソーサリー4部作などキャンペーン性のあるもの、ルパン三世シリーズのようにゲームブックは単体でも登場人物をシリーズ化させる、というつなげ方も行いました。展開で言えば、アニメやゲームの派生作品として作成されることも多かったですし、雑誌の柱にゲームブックを織り込む、というのもアイディアとしてはかなり面白かったと思います。
ただ、あくまでも個人的な意見ですが、「火吹山の魔法使い」の登場から今まで、ゲームブックとしての進化は停滞したままなのかな、と思っています。
裏を返せば、ゲームブックはまだ進化できるんじゃないかな、と。
(もちろん、私もゲームブックマイスターではありませんので、実は世のゲームブック業界はすっかり進化を遂げていて、私が知らないだけの可能性も多いにあります・・・)
私が、一番物足りない、ここ進化できないかな?と思っているのが「ブック」の部分です。
ゲームブックって、なぜ、パラグラフでバラバラにされて格納されているんでしょうか?
「先が分からない面白さをシステム化するため」
「パラパラと先をジャンプ先を見つける楽しさのため」
「プレイヤーがズルをして先を読んだりしても分かりにくいようにするため」
私の考えが浅いだけの可能性もありますが、ざっとこんな理由ではないでしょうか?
いや、考え浅いかな・・・
ま、まあ、仮にそうだとしても、話を進めてみましょう。
この3つの理由って、因果関係にはなっていないと思うんですよね。
「先が分からない面白さをシステム化するため」
→じゃあ、本じゃなくてもカードでも可能では?
「パラパラと先をジャンプ先を見つける楽しさのため」
→じゃあ、本じゃなくてもカードでも可能では?
「プレイヤーがズルをして先を読んだりしても分かりにくいようにするため」
→じゃあ、本じゃなくてカードでも可能では?
いきなりのカード万能説登場。
これは、別にカードでなくても良かったのですが、カードが説明としてよりわかりやすいかと思います。
そうなんです、パラグラフをバラバラにする時点で、それはカードで代用できるはずなんですよ。
もちろん、ダイソーの100円のようにコスト的な観点でブックにしました、というのは非常にわかりやすい理由であり説明です。(その場合は、カードでは100円に収まらない説明をすれば良い訳です)
でも、そうでないなら、旧態依然のパラグラフランダムタイプのゲームブックというのは、次の段階へのアイディアがあっても良い、いやぜひ欲しいな、と思っています。
で、ブックとは何ぞや、という点に立ち戻ると。
順番に読み進められること
これなんじゃないかと思います。
逆に言えば、コレさえできれば、
いったんパラグラフは頭から外して考えてみても良いのでは?
「それはもう『ゲームブック』ではないのでは?」
という声も聞こえてきそうですが、
それはそう(笑)
でも、それくらいの発想で「ブック」ならではの「ゲーム」を見てみたいんです。
49.それでもゲームブックは進化する
そうは言いながらも、実は、このコンセプト、つまり、
順番に読み進める
ということを基軸としたゲームブックも実はあったりします。
私が知っている作品はネタバレになってしまうのでここでは紹介は控えますが、パラグラフはどうしても存在してしまうながら、そこからどのように「順番に読み進める」という手法に持って行くのか、それが分かる瞬間はゾクゾクしたのを憶えています。
そして、これは手法はあるという可能性に通じます(無理やり)
私が知っているのはネタバレを含むタイプのものですが、これは、きっと、おそらく、いや必ずやネタバレとは無関係に実現できる手法もあるに違いない、と思うのです(倍プッシュ無理やり)
シナリオ部分は、今後も新しい技術や概念が増えるにつれて、それを生かした新しい内容も生まれてくるでしょう(たとえばVtuberとか、AIとかを絡めてみたり)。
ファイティング・ファンタジー生誕40周年、このあたりで、手法的にも「ブック」といえる
ゲームを楽しみに待ちたいと思っています。
(個人的にアイディアはなくはないですが、絶対頭良くないと作れないので私には無理・・・だむち。)
50.ブックであることを生かしたゲームあれこれ
最後に、現在のゲームブックとは違いますが、「ブック」であることをゲームに上手く織り込んでいる作品をいくつか紹介して終わりたいと思います。
1.マップ、シナリオキャンペーン系
これらは、システムの中心はボードゲームなのですが、そのゲームにシナリオ性、キャンペーン性を持たせる際の盤面の切り替えに本を使っているものです。従来型の場合は、マップをパーツ化したうえで、「このシナリオではこの順番にパーツを並べてね」みたいな形でパズルのように組み立てるものが多いのですが、ブック化することで、順番にかつ開けばすぐに準備ができるということで、遊びやすさを格段に向上させています。
・ヌイグルミ騎士団と少女の夢
「アドベンチャーブック・ゲーム」と謳っているように、絵本のような本のページをめくるたびに、マップシナリオとゲームルールが登場して、その盤面でゲームを進めていきます。ゲーム結果次第で進むマップが変わっていくのも魅力。

- アークライト ヌイグルミ騎士団と少女の夢 完全日本語版 (2-4人用 60-90分 7才以上向け) ボードゲーム
- アークライト(Arclight)
- おもちゃ
・アルマナック-ドラゴン街道紀行録
プレイヤーは隊商となって「ドラゴン街道」をつかって商材を取引したり護衛を強化したりしながら名前通りドラゴンが出るかもしれない街道を進みます。各ページに街道ごとのマップとシナリオがあり、また選択する街道によって次のマップが変わりワクワク感を増幅します。

- ホビージャパン アルマナック-ドラゴン街道紀行録- 日本語版 (2-4人用 60-90分 12才以上向け) ボードゲーム
- ホビージャパン(HobbyJAPAN)
- おもちゃ
・グルームヘイヴン 獅子のあぎと
元作「グルームヘイヴン」は、全部で100シナリオからなる壮大なファンタジー冒険ものでしたが、その100のシナリオで利用するマップはパーツを組み合わせていくためセットアップや片付けが大変なものでした。今作はスタートセットを謳っている通り、遊びやすさを重視した一つとして、シナリオごとのマップをブック形式で収納。ルールだけではなく、プレイアビリティも気遣った簡易化となっています。

- アークライト(Arclight) グルームヘイヴン スタートセット 獅子のあぎと 完全日本語版 (1-4人用 30×人数分 14才以上向け) ボードゲーム
- アークライト(Arclight)
- おもちゃ
2.情報、読み込み系
情報を読み込む本と言えば、真っ先に推理小説が思い浮かぶのではないでしょうか?もちろんゲームブックでも推理中心の作品は数多くあり、またTRPGでも推理パートをメインにすえたシナリオも沢山存在します。
そんな中、複数のプレイヤーが「殺人事件の推理小説の登場人物」の一人に扮して、そのために必要な情報を予め読み込んでから、その情報をもとに互いに犯人探しの推理を展開しあうという「マーダーミステリー」というジャンルが2019年ごろより人気になっています。
情報は紙1枚の場合もありますが、重厚なものは一人ひとりが別々の小説を読むように本を情報として読み込む必要もあり、複数名によるゲームブック(ブックゲーム)と言っても良いかも知れません。
これは、どの作品、というよりは動画化されたものを見ていただくのが分かり易いでしょう。過去に、「オーイシ☓加藤のピザラジオ」の特集でオリジナルのマダミスを配信するという企画がありました。
始まってからの展開が面白いのはもちろんですが、始まる前に一人ひとりが限られた時間で限られた情報のみを与えられる(そしてミスリードも誘う)、という本媒体ならではの情報開示の巧みさも光ります。
【加藤/記者視点】マーダーミステリー2020「2049年からの行き先」オーイシ×加藤のピザラジオ 第41回SP
・スカイホープ最後の飛行
3人で異なる登場人物の本を読み進める、という変わった内容ですが、その3人のバラバラの視点で得た情報を相談しながら協力して物語の真相を解き明かす、というゲームです。ある意味、正統派ゲームブックの進化版とも言えるかもしれません。
次回から、掘り下げてみたい内容については、まだ考えが纏まっていませんので、程よい整理ができたところで書いてみたいと思います。
(了)



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